突然ですが。
工業用の編み機は、そのほとんどが工場の閉鎖や廃業で日本ではもはや使用されることが少なくなってしました。
そういう理由から戦後飛ぶように売れた、工業編み機の針ももはやほとんど売れなくなってしまい、結局問屋さんのほとんどが倒産してしまったそうです。
弊社の仕入れ先であります針の問屋さんでも、大変厳しながらもその道のエキスパートとして家庭用と工業用の針を卸している数少ない会社です。
ここは、とにかくエキスパートという言葉がピッタリで、私はこちらの方を「針のソムリエ」と呼ばせて頂いているのですが、その所以が垣間見えるお問い合せが先日もありました。
いつものように「こういった針はありますか?」というお問い合せ。
それ自体は珍しくはなく、いつも通り問屋さんにメールの内容を伝え、針を照会してもらいます。
しかし、今回は少し変わっていて、送って頂いた画像の針は、私はいままで見たこともない物でした。
早速、うちの者が画像をもって直接問屋さんに伺うと、「ああ、それなら」といって奥から一冊のファイルを持ちだし、そのなかから該当するであろう針をその場で探し当てて「これじゃない?」とサンプルを出してくれたそうです。
持ち帰ったサンプルを元にお客様にご連絡しましたところ、お客様が大変驚かれていましたので、こちらこそビックリ。
「このマシンは戦前のアメリカの円編み機のものだよ」と言われてきたのですが、お客様自身はどこの機械なのかも全く分からず譲り受けたのだとか。
まさか、そんな古い針があったどころか、それを即日見つけ出したことに非常に驚かれたようでようです。
それにしても、私がお客様本人だったら「あやしいなぁ」と思うことでしょう。
であるにもかかわらず、高価なお買いものですのに信用して頂き、挙げ句感謝の言葉までいただきまして本当にありがたいことです。
問屋さんにもそのままお伝えさせて頂きましたが、「うちには何でもありますからね」と江戸っ子のご主人は胸を張って、とても嬉しそうに言っていらっしゃいました。
商品到着後、改めて温かいお言葉をいただきますと、本当に感謝の気持ちがこみ上げます。
そしてまた一つマシンが蘇り、なにかを紡いでゆくのだとしたらこれもまた嬉しいことです。
今回は個人のお客様のお話でしたが、
用途は編み機に使う以外にも、刺繍や細工、多いお問い合せがエクステ用のニードル・・などに汎用して頂くものをお探しの方からお問い合せも多く頂きます。
ただやはり、一番お知らせしたいのが、工業用の機械を使われている業者さん。
針がなくなったので商売を辞めざる得ないというお話、良く聞きます。
なんとか、この問屋に眠る針と、古くなってしまったけれどまだまだ使える機械とのマッチングをしてお役に立ちたいと、今回実感しました。
ヤフオクで買った針がサビだらけだった、というお話も伺いました。
なるほど、もしかしたら皆さん、針の購入先を探しているのかも知れない、と思いまして
ヤフオクでも一部針の出品を始めさせていただきました。
早速ご落札いただいており、まったくご不便をおかけしているのだなぁというのが実感です。
生産から今回のように半世紀たっているものもありますが、針はもちろんいづれも新品。自信の品質です!
どうぞご安心ください。
しかし、何より工業用の針をお探しの方。
かつては盛んだった日本の産業が衰えてゆくのを見るのは辛いものです。
お探しの針をお問い合せください。
価格の折り合いが付かず、残念ながらお買い上げ頂けなかったということはありましたが、今まで、見つからなかったのはブラザーの汎用針だけ。
是非とも、機械の再生にお役立て下さい。